たむたむの「カバンを開けると日本が見える!」
カバンは所詮道具入れ・・・ だからそこには、目的があり意図がある。 そして、その作り手の意図が見えたとき、 カバンは単なる道具入れではなくなるのです・・・
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8月のカバン【L..L..Beanのトートバッグ】
私が大学生になる少し前の1970年代後半、
女子学生達の間では、神戸発のニュートラディショナル(ニュートラ)が流行した。
ヨーロッパテイストを取り入れたこのファッションは、第一次ブランドブームに火をつけて、
街にはディオールのミニボストンや、エルメスのケリーバッグを肘に提げて闊歩する若い女性が溢れてた。
大学生になった私は、初めて神戸の街を訪れて、女の子達のその華やかさに驚いたもんだ。

その後、横浜トラディショナル、所謂ハマトラが出現するんだけど、
この話は叉いずれ触れるとして、
一方のメンズの分野では、1976年刊行された雑誌「ポパイ」が、
ヘビーデューティー・アイビー(ヘビアイ)と呼ばれる、アメリカの自然回帰志向のファッションを紹介し、
それがブームとなったんだ。

ヘビアイとは、アウトドア用グッズをアイビー的に着こなす提案なんだけど、
日本ではそれは、タウンウエアとして定着したんだ。
誰でもダウンジャケット着てたよね。
そして、このヘビアイの流行がプレッピーという、第二次アイビーブームを巻き起こしたんだ。
プレッピーとは「金持ちのお坊ちゃん、お嬢ちゃん」という意味なんだけど、
そのファッションを簡単に言うと、
上質の服を着くずし、スポーツテイストを取り入れた、シティーボーイルックってとこかな。

1981年、神戸でポートアイランド博覧会が開催されたの知ってる?
この博覧会は期間中1,610万人の入場者があり、後の「地方博ブーム」の火付け役となったんだ。
そして、この博覧会の開催と同時にして神戸に誕生したのが「ボビーズ]というプレッピーのブランド。

既に、東では「ボートハウス」というブランドが全国的に大ブームを巻き起こしていて、
神戸の「ボビーズ」は、「ボートハウス」ほどの知名度はなかったけど、
こちら関西では、「東のボートハウス・西のボビーズ」と並び称されたんだ。
「Bobby’s」のロゴの入ったTシャツ、トレーナー、ヨットパーカー、は飛ぶように売れ、
それに付随したバッグも神戸の街中を席巻した。

この時、この「ボビーズ」のバッグの生産をいっきに引き受けたのが、
当時学生だった私なんだ。
もっとも、前にも触れたように、この時代の私は物作りの「モ」の字も知らなくて、
ただ、企画室とバッグメーカーの間の橋渡しをしていたにすぎないんだけど・・・

で、企画室から言われるがままに作ったカバンが、
今月のカバン【L..L..Beanのトートバッグ】正式には、
【L..L..Beanのボート・アンド・トートバッグ】を真似たものだったんだ。
もっとも、L..L..Beanはヘビアイの代表的なブランドで、
プレッピーとは少し趣が違ったんだけど・・・
だから、企画室では、そのままコピーするのではなく、
タウン用に色々改良を加えたんだ。
生地を柔らかくしたり、正面にプリントロゴを入れたり、コンビ色にサックスを加えたりしてね。

でも、その為にこのカバンを研究してみて驚いた!

L..L..Beanは、メールオーダーシステム(カタログ販売)をいち早く確立した事で知られている、
アメリカの国民的アウトドアブランド。
まさに、今のインターネットショップの先駆けみたいなものだね。

創業は1912年だけど、その一年前の1911年に、
創業者の、レオン・レオンウッド・ビーンが自ら手製のハンティングブーツを開発したのが始まり。
自分が釣りをする時に水で濡れる靴が嫌でね。
で、1944年には、現在のボート・アンド・トートバッグの原型となる、
「アイスキャリア」が、カタログに登場。

トートバッグの「トート」とは、英語で「運ぶ」という意味。
ビーンが何を運ぶ為にこのカバンを作ったのかはもうわかったね。
おそらく、ブーツの時と同じように、
彼は自分が釣った魚を保存する為の氷を運ぶカバンを自分が欲しくてこれを作ったんだろうね。

24オンスの分厚い、接合部分のない一枚裁断の生地は氷の重みに負けない為。
太い0番のミシン糸や、粗い大きなステッチは、厳しいアウトドアの環境に屈しない為。
カチコチの特殊な樹脂加工は、氷が溶けた時に水が漏れない為。
表の底の部分やハンドルノセに使用した、アクリルハンプは水で色落ちしない為。

どれもこれも、カバンを作るこだわりというよりも、
氷を運ぶ為に必要な全ての要素を揃えるとこのカバンになった・・・って感じ。
まさに機能と目的がデザインになった典型的なカバンだったんだ。

で、このボート・アンド・トートバッグは発売以来60年以上に渡り売れ続けてるんだ。

「必要」から生まれたデザインは、どんなものにも負けない素晴らしさがあるんだね。










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